世界を目指す前に 知っておきたい、あれこれ

未来を生きる次世代への置き書き

真のセーフティネットとは?

suhartini, · カテゴリー: 未分類

正月早々のニュースで、昨年度の出生数がかろうじて100万人を超えたとのこと。しかし、少子化の進行はとどまる気配がなく、来年あたりには出生数が100万人を切ってしまうのではないかとの見方が強い。

 

ところで、筆者が住んでいたインドネシアの特殊合計出生数は、いくつだかご存知だろうか?

発展途上国の印象が強いため、4人とか、5人とか、そういう数字をあげたくなるが、実際には、2.1人。

先進国の中で多いのは、アメリカが2.1人、フランスが2.0人、日本は1.4人だ。一方、最多はナイジェリアの7.0人という数字から考えると、インドネシアの特殊合計出生数が少ないことがわかる。

 

ちなみにだが、2002年にインドネシアの占領から独立した東ティモールは6.1人、アジアの最貧国といわれていたバングラディシュが2.2人、またインドネシアと同様、東南アジアのイスラム国、マレーシアは2.6人だ。(注1)

 

インドネシアが2.1人という数字を達成しているのは、インドネシアが家族計画政策に成功している国のひとつであり、国民全体で家族計画に対する意識が高いからだ。

 

その点、日本はどうかというと、少子化のあおりを受け、どうしたら子供が増えるかに苦心している。

苦心しているのだが、子供を産めと言おうものならバッシングを受けかねない。

 

ところで、家族計画とは、具体的にはどうしろということか?

それは、インドネシアに住んでいたとき1日に1度は目にしていた、家族計画を奨励するテレビCMを見ればわかる。残念ながら、10年以上も前なのでYOUTUBEでは閲覧できないが、家族計画の実行を軽快な歌に合わせて訴えている。

歌詞の内容はこんな感じだ。

 

たくさん産みすぎるのはダメ

若すぎる年齢で産むのもダメ

高齢で産むのもダメ

子どもを産む間隔をあけろ

 

このCMで、「高齢で産むな」と言っているのは、インドネシアの平均寿命が69才であることが大きい。

70才前後で寿命が尽きる。だから定年が55才と早く、子供を大学まで卒業させるには、少なくとも30歳くらいまでに末子を産み終えている必要がある。

また、「子供を産む間隔をあけろ」というのは、母体と教育費の工面を考えてのアドバイスだ。

具体的すぎて、かえって新鮮に思えたのだが、考えてみれば、日本で家族計画という言葉が既に死語と化しているから仕方ないか。

 

ちなみに、、インドネシアは、わりとちゃんと子供を産むお国柄だ。

じゃあ、子供ができない場合はどうなるのかと言ったら、いないなら、いないなりだ。実際に独身のまま結婚しない人もいる。

子どもがいない場合は、日本では老後の心配が出てくるが、インドネシアの場合、日本ほど心配はないようだ。

というのも、今も昔もコテコテの家族・親族同士のつながりがあって、互いに助け合っているから、老後に孤立することはないというあたりが大きい。

ただし、それは、行政のセーフティネットがぜい弱だから、そうせざるを得ない、というのもあるのだが。

 

その点、日本は結婚する・しない、子供を産む・産まないは、個人の自由だ。

自由なのだけれど、だからといって、どう生きようが行政がすべてを受け止めてくれるようなセーフティネットが整っているとも思えないし、今後も整うことはないだろう。むしろ年金は減るし、介護保険も使いづらくなるだろう。

なんてったって、深刻な財政難だからだ。

 

筆者は若い人に言いたいのだが、友人づきあい、親戚づきあい、近所づきあいは、すべてセーフティネットと割り切って、ちゃんとしたほうがよいということだ。

結婚や子供を持つこと自体も、生き方の選択肢ではなく、セーフティネットと位置付ける視点は必要なのではないかと思う。

 

 

注1)WHO加盟国194ヵ国の2011年データより引用。

注2)WHO(2011)による平均寿命の表と国際連合の世界咽喉推計2010年度版による2005‐2010年の平均寿命データ。ウィキペディアより引用。

永住権は重要だよ

suhartini, · カテゴリー: 未分類

そういえば、このブログのサブタイトルが、「海外へ出る若者に贈る、気付かなかった盲点と対処法について考える」だ。

 

海外渡航前に、筆者が気付かなかった盲点のひとつが、永住権である。

既に海外に居を移している方は、永住権がどんなものかご存知と思うが、渡航する前は漠然とした意味でしかとらえていなかったのではないだろうか。

筆者に言わせれば、、この永住権ほど、もっとよく知っておくべきだったと思ったものはない。

日本国籍だと、多くの国でビザなしで観光できるので、海外に住み続けることの難しさを実感しにくいかもしれない。

 

ちなみに、永住権は、その国の国籍を取得せずとも、永住できる許可のことを指す。

海外に渡航し、安定して住んでいたとしたら、長くその地に住みたいと思うのが普通だが、そのために必要となるのが永住権だ。

各国の入国管理局のウェブサイトを見れば、永住権の取得条件が詳細に記載されていると思うが、その難易度については、額面通りに受け取ってよいと思う。つまり、永住権の取得は、かなりハードルが高く、なかなか取れないのが実情だ。

 

通常、外国に一定期間住むには、活動目的別にビザを取得するが、そのビザで許可された活動が終了すると、その国から出ていかなければならない。

特に、就労ビザは、どんな仕事でもやってよいわけではなく、国内の人材では充当できない分野の仕事に限られる。

つまり就労ビザの目的とは、そういう仕事を外国人に担ってもらって経済をまわすためにあるので、言ってしまえば、外国人労働者とは、経済発展のためのコマでしかない。

だから、「仕事がなくなったら、出て行ってくださいね。その後のことは知りませんから」というのが、就労ビザなのだ。

 

今、日本では人材不足ゆえに、海外から労働者を受け入れることが議論されているが、日本へ働きに来た外国人も、仕事がなくなったら、帰国してもらう運命にある。

それを非人道的だと非難する人がいるが、労働ビザというのはそういう趣旨のビザであって、海外の現地採用で働く多くの日本人も、同じ境遇にいるのを忘れてはいけない。

ワーキングビザとは、結構シビアなビザなのだ。

 

海外で働くというのは、日本で働くのと、大きく意味が異なる。

日本人が日本で働くのは、働きながら社会の一員として暮らし続けることができるが、海外で働くというのは、結局は使い捨てだ。

そうなることを避けるためには永住権が必要となるが、そうそう簡単に取れるものではない。

しかし中には、永住権が取りやすい国というのは存在する。

中華系(華僑)なんかは、ちゃんと永住権の取りやすさを意識して渡航先を決めているが、日本人の場合、旅行先を選ぶように、「好きな国」「行ってみたい国」で渡航先を選ぶ人が多い。

永住権は、住んでいるうちに何とかなるんだろうと、根拠もない思い込みで渡航先を選んでいるのだ。

だが、現実はそうではない。

現地で何年ものあいだ働いているのにもかかわらず、永住権が取れず、失業とともにビザを失い、帰国になってしまう外国人労働者は多い。

留学であれ、海外青年協力隊であれ、日本語教師のボランティアであれ、永住を希望していなくとも、どこかの国に一定期間住む計画がある人は、その国の永住権制度がどうなのか、事前に知識として知っておいた方がいいとアドバイスする。

もし、永住権が取りにくい国だったら、ダラダラと長居をぜずに、目的が終わったら、すぐに帰国したほうが身のためだからだ。

 

では、どうしても行きたい国が、永住権を取りにくい国だったら、どうしたらいいのだろう?

対処法については、ヒント的なものも含めて、後々書いてみようと思う。