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歴史ある薬草研究施設と
東京大学総合博物館を楽しむ
東京大学大学院理学系研究科付属植物園
小石川植物園
季節の花と史跡が楽しめる植物園
東京大学大学院理学系研究科付属植物園(小石川植物園)は、前身が江戸幕府直轄の小石川御薬園という、世界でも有数の歴史ある植物園です。その歴史は古く、3代将軍 徳川家光が設置した広尾と大塚の御薬園を1684年に小石川の地に移転してから、8代将軍徳川吉宗はその規模を拡大して整備し、本格的な薬草研究施設としました。
江戸時代に栽培されたコガネバナ(薬効:消炎、解熱、鎮痛)や、オウレン(薬効:健胃)、マオウ(薬効:喘息、解熱)をはじめとする100本余りの薬草は、現在では薬園保存園という一角で栽培されています。
そんな小石川植物園は、現在でも植物学の研究や教育の場としても機能しており、東アジアの植物研究の世界的センターとしての役割もあります。
ここの注目ポイントは、歴史にまつわる史跡。
なかでも、小学生になじみ深いのが、「甘藷試作跡」と「旧養生所の井戸」でしょう。
甘藷試作跡は、青木昆陽が甘藷(さつまいも)の栽培試作を行った場所。
現在は、その記憶を留める石碑し残っていませんが、このあたりの武蔵野の地は、関東ローム層という火山灰が降り積もった土壌が覆っている地です。稲作に向かないことで知られ、ここで甘藷の栽培を行えば、飢饉時の食料として役立つと考え、幕府の許可を得て、ここで栽培しました。
そして旧養生所の井戸は、小石川養生所にまつわる史跡。
8代将軍 徳川吉宗は、町民の声を取り入れるために目安箱を設置したことを習いますが、小石川養生所は、町医者であった小川笙船の投書により設けられた、貧困者のための養生所です。幕末までの140年もの間、貧民救済施設として機能し、旧養生所の井戸はそこで使われていた井戸です。
園内には、旧東京医学校(東京大学の前身)の本館として使われていた、小石川分館もあります。現在では、東京大学総合研究博物館として活用されており、無料で様々な企画展が開催されております。
①薬園保存園の様子 ②旧東京医学校
③薬園保存園の様子
甘藷試作跡の石碑。甘藷の栽培研究はこのあた
りで行われた。日本は関東ローム層やシラス台地をはじめ、火山灰に覆われた土壌が各地にあり、甘藷は飢饉対策として画期的な作物と考えられていた。ここでの研究により、後に甘藷は日本各地で栽培されるようになった。
旧養生所の井戸。この界隈は良質の地下水がと
れた場所とのこと。
京浜工業地帯にある東京は、政治や文化、経済
の中心地として印刷業がさかんです。小石川植物園の周囲には印刷会社や製本所、紙の裁断所など、印刷や関連する町工場が立ち並んでいますので注目を。